記憶の共有は縁の結び目

ライター角田奈穂子の「雑な生活」ほぼ日記

コロナ感染予防は貯金ができない<3>

10月25日(火)、10月26日(水)

この日と翌日が症状の山だった。熱は37〜38℃を行ったり来たり。なかなか下がらない熱には困ったが、それよりもつらかったのが、口のなかの荒れ。舌の表面が真っ白に苔がふいたようになり、潰瘍が大小3つくらいできていた。しかも、1個の潰瘍が舌の裏側の根元にあるので、唾を飲み込むたびに激痛でのたうちまわりたくなるほど。口も開けにくいので、固形物を食べる気にならない。唯一、ちゅるちゅる飲めたのが、ヨーグルトドリンク。それも、ストローで吸うと口内炎に響くので、ふたを開けてコップのようにしてちょびちょび飲んでいた。

友だちが差し入れてくれたヨーグルトドリンクが無くなった後は、セブンイレブンの宅配サービスで買ったヨーグルトドリンクを飲んだのだが、ここでも思わぬハードルがあった。ヨーグルトドリンクに混ざっているイチゴやブルーベリーの果肉が飲み込めないのだ。普段は気にもせずにストローで吸ってる果肉、こんな小さい果肉が吸えない苦しさよ。舌って大事なんだなぁと、しみじみ感謝しながら、プレーン味をちびちび飲んでいた。

夜に先生が往診に来てくれて、口内炎の軟膏を処方してくれた。塗るのも痛かったけれど、多少なりとも、痛む部分をゼリー状の軟膏でカバーすることで少しは楽になった。

今回、本当に助かったのが、先生の往診だった。たまたま行ってみた初めての病院だったし、初診の時に「往診しますよ」とは言われていたけど、こんなにフットワーク軽く往診してくれるとは思ってもみなかったので、恐縮してしまった。でも、医師のコントロール下にあるという安心感はとても大きかった。それと症状の悪化も防げたのではないかと思っている。

というのも、新型コロナは熱が下がった後も肺炎の心配がある。その見極めポイントの一つが咳の有無だ。私の場合、熱と口内炎のピークは25日から26日の昼間までで、熱は26日からほぼ平熱に近くなっていった。口内炎も熱が下がるのに少し遅れるようにして、どんどん良くなっていった。もし、発熱外来にかからず、毎日の体調について主治医とやりとりすることがなかったら、多分、私はここで「もう大丈夫」と気を抜いていたと思う。

ところが先生は、少しの咳込みでも気にするようにと私に注意した。そう言われると、ちょっとした「ゲホ」でも気になる。ほとんど咳は出なかったのだが、たまにする「ゲホ」には確かに肺の奥から出てきているような深さを感じる。「あー、これが悪化するとまずいのね」と気がつくことができた。

26日(水)の往診で咳止めが処方され、そこから熱冷ましより咳対策が治療の中心に。服用のタイミングが適切だったせいだろう。ほとんど咳で苦しむことがなく過ごすことができた。これまでもインフルエンザや風邪で高熱になると、間違いなく、その後、咳で2週間くらい苦しむのが普通だったのだけど、適切な処方を受けると、咳で苦しまなくてもいいんだなぁと知ることができてよかったと思う。

 

10月27日(木)〜29日(土)

ここからは、ほぼ回復に向かってズンズン進む。鼻水が出たり、口内炎で食事が十分に取れなかったりはしたけれど、家事はできるようになる。仕事はリスケしたり、代わってもらったので、ひたすら休養できたのもありがたかった。

今のルールだと体調の変化がなければ、療養期間が終了するのは発症から1週間後の29日。発熱から5日はジタバタしたが、それ以上、悪化することなく、普通の生活に復帰できたのは、本当に不幸中の幸いだったと思う。今のところ、後遺症らしきものも感じていない。

じつは31日に4回目のワクチン接種を予約していたのだが、もちろんキャンセル。受けるとしても、3〜4ヶ月後でいいそうだ。確かに、今、抗体が体の中にあるはずだもんね。もっと早くワクチンを打ってたら、発症しなかったかなぁ、などと、いろいろ考えさせられる感染だった。